Columnコラム
つくり手から
冬にしかできない、 土づくりを兼ねた栽培
冬にしかできない、
土づくりを兼ねた栽培
2022.02.22 つくり手から
猿子園芸では、一年中ゆりを栽培しています。
というと、「冬はなにをしているんですか?」と聞かれることがよくあります。
最低気温はマイナス10℃以下、日中もマイナスになるような真冬でも、
ビニールハウスの中ではゆりたちがすくすく育ち、植え付けや収穫も随時行っています。
この寒い季節に定植したゆりは、低い温度でゆっくりと生長させます。
そうすることで、春から秋に耕され続けて疲れてしまった土を、再び元気にすることができます。
ビニールハウス内の温度を低く保つ
外は雪が降って凍える寒さなのに、ビニールハウスの中は30℃を超えてしまうことも。
暖房を使っていなくても、です。
ですので、日中は20℃以下になるよう換気をし、夜は1−2℃という低温を保っています。
15℃以下になると、土の表面に苔が生えます。
苔が生えると良くない、と薬を使う農家さんもいますが、
保温にもなるため猿子園芸では使っていません。
温度が高くなれば、微生物の働きによる発酵は活発になる一方で、
排出するガスの量も多くなります。それは根っこにとってあまり良いものではありません。
そこで、生長を妨げない程度の低い温度にすることで微生物の活動量を抑え、ゆっくりとした発酵を促します。
微生物は一緒に働く“仲間”
微生物は水と空気の通り道をつくり、植物に栄養を行き渡らせてくれます。
そして、寒い冬でも元気に活動してくれる働き者。
暖かくなる前に一緒に土づくりをしてくれる大切な仲間です。
人ではなく、微生物が土を耕してくれる。
これによって、時間をかけてふかふかした土に整えることができるのです。
このような手法は「土ごと発酵」と呼ばれ、有機栽培で多く用いられています。
春からの生産最盛期に備える
通常ゆりは3カ月ほどで収穫となりますが、1月〜2月にかけては5カ月ほどかかります。
しかし、同時に土づくりもできるのですから、一石二鳥。
暖房代の節約やエコにもつながり、むしろ一石三鳥、四鳥かもしれません。
春頃からは、植え付けや収穫のスピードも徐々に加速します。
そのためにも冬の間の土づくりはとても重要になってくるのです。
猿子園芸の土づくりは、土の中にいる微生物の環境を整えること!これに尽きます。
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